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正倉院宝物の文様

正倉院(しょうそういん)宝物とは、奈良時代(8世紀)を中心に日本の古代文化を伝える、とても貴重な美術品や工芸品のコレクションです。これらは奈良県の東大寺にある「正倉院」という建物に保管されてきました。

宝物の多くは、聖武天皇(しょうむてんのう)という日本の天皇が使った品物や、その遺品を妻である光明皇后(こうみょうこうごう)が東大寺に納めたものです。また、当時の国際交流を物語る、ペルシャ(現在のイラン)・中国・インドなどの影響を受けた品々も含まれており、シルクロード文化の結晶ともいえます。

正倉院宝物には、

  • 精密な細工が施された楽器
  • 美しい織物や染織品
  • 唐やペルシャから伝わった工芸品
  • 当時の生活用品

などがあり、1300年前の日本とアジアの交流をそのまま伝えています。

正倉院展という年に一度の特別展で、一部の宝物が一般公開されるため、毎年多くの人々が古代の美と技術に触れに来ます。


正倉院文様との出会いは、まだ学生だった頃、今からXX年まえのスペイン。なんで、スペイン!?と思われる向きもあるとは思いますが、スペインでたまたま買ったイアリングが、正倉院宝物の一つ、紺牙撥鏤棊子[こんげばちるのきし]という碁石(黒いほう)と同じ柄だったのです。ほんとに何で!?

そんな遠い国で自分の国のいにしえの文化と装飾美に出会い、すっかり正倉院宝物にはまってしまいました。そして時がたって2023年。以前、正倉院展に行った時に大量に買った資料の中に、白黒であまり鮮明でない金銀平脱八花鏡の写真がありました。その鏡の意匠を手書きデジタルでおこしてみようと考えました。盛り上がった真ん中の取っ手のような部分や長い年月を経てかすれた装飾を、自分なりに想像して補完し彩色しました。

そして、2023年のクリスマスには、描いた絵をそれぞれ背景色を変えてマグにし、名前も入れてあげて家族皆にプレゼントしました。

そうやって年月は過ぎ、蝶の「ちょこまか」に出会い、やっと私も重すぎる腰をあげ勇気を出して商品化するに至ったわけです。実のところ、二年待ったどころではなく、何十年もあたためていた夢でした。

正倉院宝物の意匠を自分なりにデザインしたものを商品化するにあたっては、奈良国立博物館と宮内庁にも念のため作品例も添付して問い合わせました。奈良国立博物館からのお返事は「宮内庁に問い合わせて下さい」、宮内庁からのお返事は「ご自身の責任の下で行って下さい」とのことでした。どちらもお忙しい中、大変丁寧なご返答、ありがとうございました。

正倉院宝物のなかには、先ほど挙げた碁石や碁盤のような娯楽用品や、食器、盃、衣類、香炉、鏡、文房具などもあり、どれも皆、精緻で美しい細工を凝らした芸術品です。宝物には儀礼や祭事の為のものも多かったとはいえ、これらは日常にも使いうるものです。こんな風に、日常に使うものが美と詩情に溢れていたら素晴らしいな、と考えた結果が、誰もが手にできる日常品を作りたい、という動機になったと思います。

この先も、もっといろんな宝物の意匠からインスピレーションを得て作品を作っていきたいと思っています。AI生成ではないから時間もそれなりにかかるけど、日本の古代の美を現代に蘇らせ、もっと日常に取り入れられたらいいな、と思っています。