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椿と薔薇

話は私がまだ日本に住んでいたころから始まります。

大阪で生まれ育った私は、大人になってからはあまり大阪にいつかないで世界中あちこち旅したり住んだりしていました。そして、一時期、本気で大阪の家族や友達の近くにいたいと思うようになり、両親が持っていた小さな古い家にしばらく住んでいました。その家を自分でリノベーションする傍ら、初めて猫の額ほどの小さな小さな庭に植えたのが、椿でした。

毎年その椿は、白地に赤い斑が入った大きな花を木一杯に咲かせ、近所でも評判になるほど綺麗な椿でした。

そしてある出来事があって、私は日本を離れる決心をしました。オーストラリアに住むことになっても、やはり日本が大好きで恋しく、大阪の家においてきた椿は、私が日本においてきてしまった懐かしいもの、そしてその椿も家も含め、今はもうなくなってしまったもの全ての象徴になりました。

ある夏、家族で見に行った園芸店で、私がおいてきた椿にそっくりな絞り薔薇を見つけました。私の思いを知っている旦那はその薔薇を買ってくれました。大阪においてきた椿よりはかなり小振りでしたが、それでも本当にうっとりするような美しい薔薇でした。花や木を育てるのは比較的上手なほうだと思うのですが、この絞り薔薇だけは2年ほどで枯らしてしまいました。

その薔薇がまだ咲いている間に、水彩画を描きました。その絞り薔薇の作品や、母の日に貰った椿を描いた水彩画等をいろんな日用品にして、皆さんの毎日の生活に詩情を届けられたら、と思い描いています。